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高松高等裁判所 昭和24年(控)1338号 判決

被告人

近藤泰造

主文

原判決を破棄する。

被告人を罰金五千円に処する。

右罰金を完納できないときは金二百円を一日に換算して労役場に留置する。

理由

弁護人近藤勝の控訴趣意同第一、二点について。

原審第一囘公判判調書によれば、井上佐々一に対する司法警察員作成の供述調書の謄本につき証拠調が行われその原本が公判に顯出せられなかつたことは所論の通りである。従つて原判決が証拠の標目として掲げている同人の供述調書は、右謄本を指すものであり、これを誤記したものと認めるを相当とする。而して該謄本の各葉間の契印が欠けていることも所論の通りであるが、刑事訴訟規則第五八条第二項の規定する方式を欠く書類を直ちに無効とする規定はないからその全部が当該公務員により作成せられたことを認め得る以上有効な書類と解すべきである。前記供述調書謄本は司法警察員門田正則が全部筆写し、その謄本であることを自ら認証したものであり、前記公判調書によるも、その証拠調に際し被告人又は弁護人から何等の異議乃至意見が述べられていないのであるから、その内容は原本と相違するところがないものと認めるを相当とする。論旨は何れも採用できない。

(註 本件は量刑不当により破棄自判)

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